ベターホームの道具と食品

【連載・わたしのみそ作り】番外編 教えて!地域のみそ~九州麦みそ・合わせみそ

この連載では、ベターホームの先生・スタッフ計9名の「みそ係」が、自宅でみそを作る様子をご紹介しています。これまでの目次はこちらから→

番外編「教えて!地域のみそ」をお届けしています。今回は九州のみそについて。福岡在住のとびうめ先生に教えてもらいます。聞き手は事務局スタッフぱせりです。


やさしい甘さ・素朴な風味

「以前、九州出身の知人から、手作りの『麦みそ』をもらったことがあります。九州のみそと言えば、麦こうじで作った麦みそですよね?」

 

 

「九州地方は麦みその主産地ですが、私の住む福岡の近辺では、米みそも作られます。米と麦の『合わせみそ』も多く作られているんですよ」

 

「合わせみそを作る?麦みそと米みそを調合するってことですか?」

 

 

「九州で一般的な合わせみそは、仕込みの段階で、麦こうじと米こうじをブレンドして作るみそです。うちの近所のスーパーで売られているみそは、8~9割がこの合わせみそ。後の1~2割が米みそ、麦みそ、白みそ、仙台みそなど他地域の特徴的なみそが売られています。麦みそは『田舎みそ』という名前で売られていることが多いようです」

 

「関東でも麦みそは作られていますが、たしかに、田舎みそという名前がついているものもが多い気がします!米みそで田舎みそという名前のものもあるのですが・・・。そもそも九州ではなぜ麦みそが多く作られているんですか?」

 

「九州は温暖な気候なので、二毛作ができます。お米の収穫の後、裏作(冬の栽培)として麦の栽培がさかんだったので、麦みそが根付きました。九州では初夏に、きれいな黄金色の麦畑が見られます。そしてお米はとても貴重だったので、小米(精米時に砕けた米や未成熟な小粒の米)をこうじにして、麦みそを作る時に混ぜるということを昔からしていたようです」

「合わせみそですね!」

 

 

「やはり温暖な気候のために、麦みそも合わせみそも熟成期間が短く、甘口のものが多いです。色は淡色から、濃くても淡赤色までと薄め。甘口のものはこうじを多く使っていて、大豆の2倍や3倍も使ったものもあります。熟成期間は、短いものは2か月、もっと短いものもあるようです」

 

「麦みそも合わせみそも、やさしい甘さで、麦の素朴な風味。比べてみると、麦こうじだけのみその方が、より素朴でさっぱりとしているように感じました。こういった甘いみそになじんでいると、ベターホームのレシピで仕込んだみそは辛いと思いませんでしたか?」

 

「そうなんです! ベターホームのレシピで作った米みそで作るみそ汁は、最初塩辛く感じました。できあがったみそに昆布をはさんでおいたり、甘い白みそを足したりしていました。自分でみそを調合してみると、甘さ・辛さの調節だけではなく、味に深みが出て思わぬおいしさに出会えることもあるので楽しいですよ」


麦の粒も愛しい

「私はふだんを作るとき、みそこしを使わないのですが、麦みそを使う時は麦の繊維が気になるので、みそこしを使いたくなります。とびうめ先生はみそこしを使っていますか?」

「はい、みそこしを使っています。みそこしと言えば、最初にみそを作り始めた頃、麦こうじと米こうじの合わせみそを作ったのですが、 手作りしたみそが愛しくて、みそこしに残った麦のつぶつぶも、もったいなく感じてまた鍋に戻すという暴挙をやっておりました」

 

「自分でみそを作ってみると、その愛しい気持ち、よくわかります!」

 

 


九州みそ料理

「みそを使った、九州の料理を教えてください」

 

 

「まずは、宮崎県の『冷や汁』。すりつぶしたいりことみそを合わせて焼いたものをだしでのばし、豆腐やきゅうり、大葉などの香味野菜を加えた汁を麦飯にかけて食べる旨みたっぷりの夏の家庭料理です」

 

「ベターホームのレシピ検索サイト『レシピサーチ』には、あじの干物を使った冷や汁のレシピが掲載されています。暑~い日に食べると、みその塩分とうまみ、香味野菜のさっぱり感が本当においしく感じます」

「熊本の『からし蓮根』は、れんこんに辛子みそを詰め、衣をつけて油で揚げたおそうざいです。輪切りにすると切り口が華やかで、衣の甘みと辛子みそのピリッとした辛味、れんこんの食感が人気で、こちらも全国に知られていますね」

 

「熊本のお土産にもらったことがあります!」

 

 

「ちょっと楽しい名前の郷土料理もあるんですよ。大分や熊本の『だご汁』に、熊本の『一文字(ひともじ)のぐるぐる』」

 

「だご!?ひともじ!?ぐるぐる!?」

 

 

「『だご』は、『だんご』のこと。だご汁(だんご汁)は、小麦粉をこねただんご(だご)とごぼう、にんじん、大根などが入っている具だくさんのみそ汁です(地域によってはしょうゆ仕立ての場合もあります)。鹿児島では『さつま汁』という、さつまいもや鶏肉を入れた具だくさんみそ汁がありますが、こちらにはだんごが入りません」

 

「一文字(ひともじ)のぐるぐるの『一文字』は、わけぎのこと。さっとゆでたわけぎの白根の部分に、青い葉の部分をぐるぐると巻きつけるので『ぐるぐる』というそうです。酢みそでいただきます。実は、前回、京都白みその回でもご紹介していたベターホームのお料理教室の『和食上級技術の会』3月のメニュー『ほたるいかの酢みそ』のほたるいかに添えているのは、この一文字のぐるぐるです(※教室では酢みそには、米みその白みそを使用しています)

「本当にぐるぐる巻いてありますね!!」

 

 


ぱせりの九州麦みそ・合わせみそまとめ

「麦の素朴な風味とやさしい甘さ。九州に住んだことはないけれど、口にすると郷愁をそそられるような、ほっとする味のみそだということがわかりました!」

 

番外編「教えて!地域のみそ」は、今回で終了。
前回までの記事はこちら。
北海道みそ
仙台みそ
江戸甘みそ・江戸みそ
豆みそ
京都白みそ

今回ご紹介できたのは一部だけで、まだまだ全国にはいろいろなみそがあります。
各地のみそについて調べてみたり、少量ずつ買って、みそを使った郷土料理を作ってみたりするのも楽しいですよ!
次回からは本編に戻り、再びみそ作りの様子をご紹介します。



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みそ作りの手順を動画でご紹介しています
どんなふうに作るか、流れがよくわかります。

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