<奈良県>きな粉雑煮
その土地で人気の名物料理を家庭で作りやすいレシピにしてご紹介します。
今回はココ!奈良県奈良市周辺
現存する金剛大仏としては世界最大、14m9cmの「奈良の大仏」や、約1200頭もの鹿が群れ遊ぶ奈良公園など、有名な寺社や観光施設が集中している。
正月といえば雑煮。奈良の広い地域で昔より食されているのが、今回紹介する「きな粉雑煮」。砂糖入りのきな粉が添えられており、雑煮のもちをこのきな粉につけて食べます。
ひと椀で二度おいしい
だしで具材を煮たら、味つけは白みそで。しょうゆ仕立てにする地域もあるようですが、今回は白みそ味を紹介します。ほのかな塩気がついたもちを、ほんのり甘いきな粉につけてほおばると、かの有名な「あべかわもち」のような味わいに。甘じょっぱくて、意外とクセになりそうなおいしさです。もちは汁につけて食べてももちろんおいしく、みそ味ときな粉味、ひとつの椀で二度おいしい雑煮です。
きな粉を添える理由には諸説あり、きな粉には悪霊を追い払う願いがこめられているとも、きな粉の黄色は「豊作祈願」を表しているともいわれます。また、海に接していない奈良の貴重なたんぱく源として食べられるようになったという説もあります。
健康と繁栄を願って
椀の中の具にも、正月ならではの願いが。人の上に立つ「頭(かしら)」になるようにと、頭いもを。頭いもとは、さといもの親いも(種いも)のことです。そして、とうふは「白壁の蔵」、こんにゃくは「土蔵」の象徴で、どちらも蔵が建つようにと願って四角く切ります。また、丸く一年すごせるようにと丸もちを使い、だいこんとにんじんは輪切りにします。
ほかの地方から見たら、一風変わった「きな粉雑煮」ですが、そこには誰もが望む新年の願いがこめられています。わが家の味を楽しんだあと、いかがでしょう。
材料
【2人分】
・さといも … 2個(140g)
・だいこん … 30g
・にんじん … 30g
・とうふ(もめん) … 50g
・こんにゃく … 50g
・丸もち … 2個(100g)
・だし … 700ml
・白みそ … 60g
・うすくちしょうゆ … 小さじ1/2
[A]
・きな粉 … 大さじ3
・砂糖 … 大さじ1
・塩 … 少々
作り方
【1】
さといも、だいこん、にんじんは皮をむき、5mm厚さの輪切りにする。とうふとこんにゃくは5cm長さ、5mm厚さに切る。
【2】
小鍋に湯を沸かし、こんにゃくをさっとゆでて水気をきる。
【3】
鍋にだしと野菜を入れ、中火で約10分煮る。
【4】
野菜がやわらかくなったら、とうふとこんにゃくを加える。ひと煮立ちしたら、みそを溶き入れ、うすくちしょうゆ を加えて火を止める。
【5】
もちはグリルかオーブントースターで薄く焼き色がつくまで焼く。
【6】
【4】にもちを加えて軽く温め、椀に盛る。A(きな粉大さじ3、砂糖大さじ1、塩少々)を合わせて添え、もちをつけて食べる。
※当ページのコンテンツは、「月刊ベターホーム」本誌2017年12月号掲載の内容を、Web記事として再掲したものです。