かんぴょう農家
ベターホームの先生たちが教室を飛び出し、さまざまな食の現場を訪ねてレポートします。
見学するのは、渋谷教室 石原幸江先生(写真左)、柏教室 藤岡圭子先生(写真右)
教えてくれるのは、株式会社 島田計二商店 島田佳幸さん
壬生町の風土が育むかんぴょう作り
今回訪れたのは、かんぴょうの名産地、栃木県壬生町(みぶまち)。現在、国産品はわずか1〜2割ですが、その約99%が栃木県産です。
「かんぴょう作りの最盛期は7月上旬〜8月中旬までの40日間ほど。この時期、農家さんは朝2時半ごろからむき作業を始めます」と、壬生町のかんぴょう専門問屋、島田計二商店の島田佳幸さん。さっそく、かんぴょう農家、中川善市さんの作業場に案内してもらいました。
かんぴょうは、夕顔の実をむいて乾燥させたもの。その工程はシンプルですが、作業はかんたんではありません。
「むく厚さは1〜2mm ですが、その日の気温や湿度によって親父から『少し薄く』などと言われるんです。その『少し』がどのくらいなのかがむずかしい。まだ親父のようにはいきません」と、善市さんの息子の雅史さん。夕顔を回転させる機械のペダルの踏み加減と、かんなを押し当てる力を微妙に変えながらの作業。最適の厚さにむくには経験を積むしかありません。
しかし、中川さんのところのように後継ぎがいる農家は数少なくなりました。かつて壬生町に60軒あったかんぴょう農家は、現在4軒のみに。「栃木が一大産地になったのは、夏場よく晴れて夕立がある気候や、土がかんぴょう作りに適していたからでしょう。その昔、中国に種や技術を輸出したのですが、繊維質が多く歯ごたえが強いなど、日本と同じものにはなりませんでした。ここで作り続けることが大切なんです」
島田さんは新たにかんぴょうを作りたいという若者の就農支援も行っています。
巻きずしや昆布巻きの帯など、脇役ながら和食に欠かせない食材のかんぴょう。先生たちも、かんぴょうを使った料理を伝える意義を強く感じていました。
採る(とる)
剥く(むく)
干す
燻す(いぶす)
藤岡先生「かんぴょうの魅力や食べ方を教室でしっかりお伝えし、若い世代に伝承していきたいと改めて感じました。」(写真左)
石原先生「大きな夕顔の実ですが、手間をかけて加工し、乾物としてできあがる量はほんの少し。大切に料理をして、味わって食べたいと思います。」(写真右)
【Data】
株式会社 島田計二商店
栃木県下都賀壬生町本丸1丁目7番20号
TEL : 0282-82-0525
http://www.shimada-keiji.com/
※外部のウェブサイトにつながります
地元の農家が作ったかんぴょうを集めて選別、計量、袋詰めを行っている、
かんぴょうの専門問屋。
卸問屋や飲食店を中心に販売しているが、小売も行っている。
問い合わせは上記まで。
【Information】
かんぴょう作りのシーズンには、作業を見学することも可能。
期間は例年、7月上旬〜8月中旬で、朝5:00ごろから見学開始。
詳細は島田計二商店まで。
※表示の情報は掲載日時点の情報です。
掲載した時点以降に変更される場合もありますのであらかじめご了承ください。
撮影/安部まゆみ 文/横尾久美子
※当ページのコンテンツは、ベターホームのお料理教室の受講生の方のための会報誌「Betterhome Journal」2019年10月号掲載の内容を、Web記事として再掲したものです。
ベターホームのお料理教室の受講生向け会報誌「Betterhome Journal」
「おいしいって、しあわせなこと。」をキャッチフレーズに、 料理レシピや食についての情報を掲載しています。2019年10月号の特集は「やさしい台湾ごはん」。日本で手に入りやすい材料を使って、手軽に作れるレシピを紹介します。