先生たちの社会科見学

鈴廣かまぼこの里

ベターホームの先生たちが教室を飛び出し、さまざまな食の現場を訪ねてレポートします。
見学するのは、町田教室 太田寿美先生(写真左)、長谷部真奈美先生(写真右)。


教えてくれるのは、株式会社 鈴廣蒲鉾本店 広報課 奥村真貴子さん。

小田原かまぼこの伝統と今に伝わる職人技
海に囲まれた日本では、各地でさまざまな練りものが生まれ、食文化として根づいています。
今回は、関東を代表する練りもの「小田原かまぼこ」の名店、鈴廣かまぼこを訪ねました。

●小田原かまぼこのヒミツ

鈴廣かまぼこの里内にある鈴廣かまぼこ博物館では、かまぼこ作りを見学・体験できるほか、かまぼこのヒミツを展示した「かまぼこ百科」や「かまぼこ板絵美術館」などさまざまな施設を併設。

小田原でかまぼこ作りが始まったのは、江戸時代末期。相模湾で豊富に捕れる魚を保存、利用するために、網元が始めたといわれています。もちもちと力強い歯ごたえのある真っ白なすり身と、ぎゅっと凝縮した魚のうま味を感じるのが、小田原かまぼこの特徴です。

小田原かまぼこの原料は、大海原で育まれた新鮮なグチ(イシモチ)と、箱根の山々の清らかな地下水。鈴廣では東シナ海などから天然のグチを独自に確保することで、伝統の味を守っています。また、調味料や色素は天然素材を使い、保存料、合成着色料、化学調味料を一切使わないこともおいしさのひけつ。添加物を使わずにもちもち感を出せるのは、新鮮な魚で作っているからこそです。

●原料は「グチ」

小田原かまぼこは、新鮮なグチ(イシモチ)を原料に使うのが大きな特徴。鈴廣では1本のかまぼこに約7尾分の身が使われています。

●箱根百年水と塩

箱根丹沢連山に降った雨が100 年かけて濾過(ろか)された地 下水を使っています。魚の血合いと反応してすり身を変色させる鉄分を含まないため、。真っ白なかまぼこに。
海水から作られたミネラル豊富な天然塩も、小田原かまぼこのおいしさのひけつです。
魚の栄養がつまった小田原かまぼこは、良質なたんぱく源です。「かまぼこ1本に魚の栄養がぎっしり!」

さらに、国家資格である水産練り製品製造技能士一級の資格をもつ14人の職人たちも、大切な存在です。鈴廣では、その日の気温や魚の肉質に合わせて、職人が塩を入れるタイミング、練る時間などを微妙に調整しながらかまぼこを作っています。職人の技術が伝統と品質を支えているのです。

職人の腕の見せどころのひとつが、すり身を山高の形に板つけする成形作業です。見事な手際を見学した先生たちですが、かまぼこ作り体験では、その難しさを実感。「職人さんはすごい!」と感動することしきりでした。

●「成形」の工程を見学!

専用の「板つけ包丁」を使ってすり身を板につけます。一度につけるのではなく、引き起こし、中掛け、上掛けの3段階に 分けることで徐々に身が締まってよい弾力になり、つやも出ます。気泡が入らないようにつけるには熟練した技が必要。

●扇形

板の幅よりも外側に広がる扇形は小田原かまぼこの大きな特徴です。この美しい形を作り上げるのは職人たちの熟練の技。火の通りを均一にする工夫も、伝統技術のひとつ。

 

手作業で細工を施す「古今 鹿の子」は、白いすり身の上に色をつけたすり身、さらに白いすり身と重ねていきます。模様をきざんだときに美しく見えるよう、均一な厚さで塗り重ねていく繊細な作業です。「すべての作業を包丁1本で行います」

 

「古今 鹿の子」の仕上げ作業。彫りべらでスピーディに模様をきざんでいくようすは、まさに匠の技!美しい柄は和菓子のよう。
成形の技を見学する先生たち。ムダのない手さばきや均一で美しいできあがりに、思わず目を奪われます。「すり身が次々とかまぼこの形に!」
超特選蒲鉾 「古今 鹿の子」(280g)3,900円(税抜)

自然の恵み、伝統、そして職人の技術の高さに支えられた鈴廣のかまぼこ。シンプルだからこそ、ごまかしのきかないかまぼこ作りの奥深さを学びました。

 

先生たちもかまぼこ・ちくわ作りに挑戦
かまぼこ博物館では、職人さんに教えてもらいながらかまぼこ・ちくわ手作り体験ができます。

すり身を板につけていく作業を体験。初めはすり身のかたさや初めて扱う包丁に苦戦しながらも、さすがは先生たち、最後にはきれいな扇形に。

成形したかまぼこを手にした先生たち。「扇形に整えるのは思った以上に難しいですね」と太田先生。長谷部先生は「少しずつ重ねるのがコツなんですね。とても楽しかったです」。

ちくわ作りにも挑戦しました。自分で作った焼きたてのちくわをパクリ !「魚のうま味がしっかり。おいしい!」

 

「小田原かまぼこのおいしさは、職人の経験と高い技術に支えられていることがわかりました。」(太田先生・写真左)「たんぱく質が豊富で栄養価が高いかまぼこの魅力を、あらためて感じることができました。」(長谷川先生・写真右)

かまぼこのおいしい食べ方と保存法
鈴廣がおすすめする「かまぼこのおいしい厚さ」は12mm。プリッと弾力のある食感や、かんだときの魚の風味を楽しめるのがこの厚さだそう。鈴廣のかまぼこは10 等分すると1枚がちょうど12mmになります。また、木の板つきのかまぼこは食べる分だけ切り、残りは板につけたまま冷蔵保存するのがおいしく食べるコツ。保存中も板が水分量を調整してくれるので、みずみしさが長もちします。


【Data】
鈴廣かまぼこの里
神奈川県小田原市風祭245
TEL:0465-22-3191(代)
https://www.kamaboko.com/sato/
※外部のウェブサイトにつながります

Access
JR東海道新幹線・小田急線「小田原駅」より 車で約10分
箱根登山鉄道「風祭駅」直結
登山バス・伊豆箱根バス「風祭停留所」下車すぐ

Information
【営業時間】 9:00~18:00
【休館日】 無休(臨時休業あり)

かまぼこ・ちくわ 手作り教室体験
【開始時刻】 9:30 / 10:50 / 12:10 / 13:30 / 14:50 (各50分)
要予約 / 予約はHPより
【開催日】水曜日はちくわのみ

撮影/安部まゆみ 文/丸山こずえ

※当ページのコンテンツは、ベターホームのお料理教室の受講生の方のための会報誌「Betterhome Journal」2020年3月号掲載の内容を、Web記事として再掲したものです。

ベターホームのお料理教室の受講生向け会報誌「Betterhome Journal」

「おいしいって、しあわせなこと。」をキャッチフレーズに、 料理レシピや食についての情報を掲載しています。2020年3月号の特集は「いち、に、サンドイッチ」。サンドイッチは、パンに具をはさむだけで気軽に食べられるシンプルディッシュ。でも、ちょっとしたコツを知っておくとできあがりのおいしさは段違い!3つのポイントを押さえ、“ いち、に、さん!” と楽しく作りましょう。

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