ジョーキュウ醤油
ベターホームの先生たちが教室を飛び出し、さまざまな食の現場を訪ねてレポートします。
見学するのは、福岡教室 佐藤陽子先生(写真左)、水沼晶子先生(写真右)。
教えてくれるのは、株式会社ジョーキュウ 本社工場長 福田昭浩さん
160年受け継がれる天然醸造木桶仕込みの二段熟成しょうゆ
和食に欠かせない、しょうゆ。地域によって味や製法が異なる、伝統の発酵調味料です。今回は、安政2年(1855年)創業の福岡県のしょうゆメーカー、ジョーキュウを訪ねました。
今では工場生産が一般的となったしょうゆ造りですが、ジョーキュウでは伝統を守るため、山陰・九州の特産である再仕込みしょうゆを昔ながらの天然醸造製法で造っています。再仕込みしょうゆは、塩水の代わりに生揚げしょうゆを入れて、再度熟成させたしょうゆ。山口県の柳井地方発祥といわれ、塩角(しおかど)がとれた、コクのある風味豊かな味わいはその昔、岩国藩主に「甘露」といわしめたほどです。「築160年にもなる蔵で、今でもしょうゆ造りをしています」と、工場長の福田昭浩さんが案内してくれたのが、仕込み蔵。直径、深さとも約1.8mもある巨大な木桶にもろみが仕込まれています。100年以上使われている桶もあるのだそう。「長年の間に酵母や菌が桶肌にすみつき、それでしか醸(かも)せない風味があるので、この桶でなければうちのしょうゆは造れません」
ジョーキュウの再仕込みしょうゆの原料は、福岡県産の大豆と小麦、長崎県産の塩のみ。これらに種麹(たねこうじ)を加えた麹に一番しぼりのしょうゆを合わせ、職人が発酵のようすを見極めながら撹拌(かくはん)し、約1年半熟成させます。桶の底まで空気を送るため、体全体を大きく使ってかき混ぜる作業は、「夏場はひと苦労ですよ(笑)」と、福田さん。最後に圧搾、火入れをして完成です。通常のこいくちしょうゆの、実に2倍の原料と期間を要します。
身近な調味料であるしょうゆが、自然の力と職人の手によって長い歳月をかけて造られているのを目の当たりにした先生たち。「この味を伝えていかなければ」と、強く誓いました。
【Data】
株式会社 ジョーキュウ
福岡県福岡市中央区大名1-12-15
TEL:0120-345-556
http://www.jokyu.co.jp/
※外部のウェブサイトにつながります
Information
1855年の創業以来、変わらずこの地でしょうゆ醸造業を継承。仕込み蔵のほか、米蔵、表座敷など、ジョーキュウの保有する建造物は、計7つが国の登録有形文化財に指定されている。本社工場に隣接する小売館では、火入れをしない「生揚(きあ)げしょうゆ」の限定販売も。
※表示の価格や内容量等は掲載日時点の情報です。掲載した時点以降に変更される場合もありますので、あらかじめご了承ください。
撮影/長崎辰一 文/山本愛理
※当ページのコンテンツは、ベターホームのお料理教室の受講生の方のための会報誌「Betterhome Journal」2020年4月号掲載の内容を、Web記事として再掲したものです。
ベターホームのお料理教室の受講生向け会報誌「Betterhome Journal」
「おいしいって、しあわせなこと。」をキャッチフレーズに、 料理レシピや食についての情報を掲載しています。2020年4月号の特集は「春野菜のおかず」。春らんまん。新たまねぎ、新キャベツ、新じゃがいもと「新」のつく野菜がおいしいシーズンになりました。やわらかくて、みずみずしくて、お手頃なのも魅力。いいことずくめの新野菜。たっぷりいただくことにいたしましょう。