- 調査対象 : ベターホームの料理教室を受講した男性
- 調査地域 : 東京、大阪、名古屋、札幌、福岡
- 年代構成 :
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全体 |
50代 |
60代 |
70代 |
80代 |
1995年 |
106人 |
0 |
88人 |
17人 |
1人 |
0 |
83.0% |
16.0% |
0.9% |
2001年 |
117人 |
5人 |
89人 |
21人 |
2人 |
4.3% |
76.1% |
17.9% |
1.7% |
- 職業構成:
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無職 |
有職 |
不明 |
1995年 |
64.1% |
29.2% |
6.6% |
2001年 |
82.1% |
17.1% |
0.8% |
- 調査時期:1995年4月/2001年8月
- 調査方法:自宅にアンケートを郵送して記入してもらいました。
- 調査目的
- ベターホーム協会は95年から財団の助成事業として「60歳からの男の基本料理教室」を年に2回ずつ開催してきました。60歳以上の男性に料理を体験してもらうことで、料理を始めるきっかけにしてもらうことが目的です。
- この教室を始めた背景は高齢化社会です。60歳で定年を迎えたとしても、80歳、90歳の親が生きているのが高齢化社会。そんな時代には自分のことは自分でできる能力はもとより、親や連れ合いの介護をする能力も必要です。さらに、明るい高齢化社会は健康であることが大前提。健康の基本である食生活を自分で管理できる能力が必要です。
- ところが、日本の中高年男性の実態ははなはだ心もとないのが現状です。せめて、自分のことは自分でできる程度の能力を持ってほしい、これが「60歳からの男の基本料理教室」開催の趣旨です。
- この調査は「60歳からの男の基本料理教室」開催にあたって、60歳以上の男性の実態を把握するために行なっているものです。同じ内容のアンケート調査を毎年実施して定点観測をしています。
1回目を95年に実施し、今回は7回目です。この間で男性たちの実態と意識はどのように変わているかを調べました。
以下の表の数字は全て%です。
- 料理教室に入ろうと思ったのはなぜですか?(複数回答)
| 1995年 | 2001年 |
1.定年を迎え、時間ができたので | 7.5 | 59.0 |
2.ひとりになっても困らないように | 50.9 | 50.4 |
3.妻の手助けをしたい | 12.2 | 41.9 |
4.老化防止のため | 3.7 | 38.5 |
5.趣味のひとつとして | 14.1 | 37.6 |
6.家族にすすめられたから | 8.4 | 28.2 |
- 95年は「ひとりになっても困らないように」という、どちらかというと自己防衛的な姿勢の人が多かったが、2001年は妻の手助け、老化防止、趣味として、と多彩で積極的な姿勢に変化している。
- 中でも「定年を迎え、時間ができたので」という理由をあげる人が非常に増えている。定年後の生活に料理の技術は欠かせないという認識であろう。
- 料理教室に入るのにためらいはありましたか?
| 1995年 | 2001年 |
1.なかった | 59.4 | 79.5 |
2.あった | 39.6 | 20.5 |
- 料理教室受講に抵抗がない男性が大きく増加した。
- 以前は男性の参加は極めて少数だったが、今では料理教室に男性がいるのは当たり前の風景になり、抵抗感を持つ人のほうが少数派になった。
- 「ためらいがあった」方は何が気がかりでしたか?(複数回答)
| 1995年 | 2001年 |
1.料理ができないので、授業についていけるか不安だった | 42.8 | 70.8 |
2.男なのに料理を習うのは恥ずかしい | 32.0 | 29.2 | 3.その他 | 9.5 | 16.7 |
- 料理教室に入ることに「ためらい」を持っていた20.5%の人たちは、何にためらっていたのだろうか。この結果を見ると「男だから」と外聞を気にしたというより、初心者ゆえのためらいだったようだ。
- 高齢男性には「料理はむずかしそうだ」という思い込みが強い。しかし、料理は誰にでもできること。最初の一歩さえ踏み出すかどうかである。
- 現在、主に食事を作っているのは誰ですか?
| 1995年 | 2001年 |
1.妻 | 69.8 | 80.4 |
2.自分 | 7.5 | 9.5 |
3.妻と自分が交代 | データなし | 3.5 |
4.その他(娘、息子の妻など) | 10.3 | 6.2 |
* 95年の調査では「3、妻と自分が交代」という設問を設けなかったのでデータはありません。
- 「主に妻が作っている」という人の割合が増加するという、残念な結果となった。
- 「妻と自分が交代」という人も3.5%では少なすぎる。男性の料理作りの実態はまだまだだ。
- 現在、あなたはどの程度、料理を作っていますか?
| 1995年 | 2001年 |
1.ほとんどしていない | 53.7 | 56.3 |
2.ほぼ毎日 | 12.2 | 13.6 |
3.月に2〜3回程度 | 13.2 | 17.1 |
4.1周間に1〜2回程度 | 10.3 | 12.0 |
5.1週間に3〜4回程度 | 7.5 | 1.0 |
- ほぼ半数の男性は、回数の多少はあるものの料理づくりをしていると言っていいようだ。
- 残念ながら、この6年間で大幅な変化は見られない。男性たちにはもっと前向きに変わってほしいものだ。
- 自分が家事をすることについて、どう思いますか?
| 1995年 | 2001年 |
1.今はやっていないが必要なことなので、今後は積極的に取り組みたい |
48.1 | 49.6 |
2.当然のことだと思うので、今でもやっている |
18.8 | 19.7 |
3.必要だとは思うが、やらなくてすむなら、やりたくない |
19.8 | 21.4 |
4.その他 |
9.4 | 9.4 |
- 1.2.を合わせた「家事に前向き」派はほぼ6〜7割程度と見てよいだろう。
- とはいえ、5.の結果と合わせて考えると、頭では前向きだが行動はまだ伴っていないと言える。
- 徐々にでも家事に取り組む男性が増えてほしいのに、現状は好転していない。「家事は女がするもの」という従来の観念は生まれた時から体にしみついているので、かんたんに払拭できないらしい。
- これから身につけたいと思っている家事は何ですか?(複数回答)
| 1995年 | 2001年 |
1.料理 | 97.3 | 98.3 |
2.家や器具類の修理 | 22.6 | 23.1 |
3.食品や日用品の買い物 | 25.4 | 29.1 |
4.洗濯 | 16.0 | 29.9 |
5.掃除 | 18.8 | 27.3 |
6.食器洗い | 16.9 | 20.5 |
7.家計の管理 | 6.6 | 5.1 |
- 料理が圧倒的に1位なのは変わらない構造。料理は家事の中ではより創造的な分野なので、最初に取り組むには適しているだろう。
- 他の家事をやりたい人も増えている。生活全般に目が向くようになったのはよい傾向だ。
- 料理教室に参加しした感想は?(複数回答)
| 2001年 |
1.参加したのは有意義だった | 91.5 |
2.今後も料理を続けようと思った | 60.7 |
3.自分にも料理ができそうだと思った | 65.8 |
4.料理はおもしろいものだと思った | 64.1 |
5.料理はむずかしいものだと思った | 35.9 |
6.自分ひとりではできそうにないと思った | 6.8 |
7.今後も料理はしないと思う | 2.6 |
- 肯定的にとらえた人が圧倒的。参加する前の不安などは吹き飛ばされた格好だ。料理教室に参加したことが新しい世界への入り口になった人もたくさんいるはずだ。
- 料理は実際に作って、初めて身につくもの。「有意義だった」で、終わらせることなくぜひ実践してほしい。
- ただし、「むずかしい」「ひとりではできそうにない」と思った人もわずかながらいることも事実。しかし、料理は誰にでもできること。おじけづくことなく、取り組んでもらいたい。
《参加しての感想》
- 「男子厨房に入るべからず」を決め込んでいたが、新聞記事を見て申込みの電話をしてしまった。魔がさしたのか?参加してみてメンバーが同年代であり結構楽しく受講できた。最近テレビの料理番組に興味を示したり、女房が食事を作っているときに質問することが増えた。「何にも出来ない夫」の心境の変化を、女房が一番喜んでいるのかもしれない。(60代・札幌市)
- 講習会のあった夜は、家族で料理の話に花が咲いた。また、テレビで大さじ、小さじ、1カップ等といっていたが、何のことか知らず、ただぼーっと見ていた。また「ダシ」とはなにかも今回知り、少しではあるが料理に興味が出るのではと思っている。(60代・大東市)
- 習った「酢のもの」「おひたし」は意外に好評だった。以来食事時に、食材や料理の話がさりげなく話題にのぼる。その気があるなら、という女房の教育である。私は私で、来春若葉の頃「鰹のたたき」をやると、政治家のように実行を先延ばししている。(70代・名古屋市)
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