切り込みで味と見栄えを
イカは、刺し身や天ぷら、煮物にとまさに万能選手。そのイカの表面に包丁で切り目を入れることが多いのですが、なぜでしょう。
イカの皮は、何枚も重なった重層構造で、長いタンパク質の繊維が縦横に走っています。調理の際に手でむき取るのは表面の一部の皮です。それをむいただけで加熱すると、残った皮に含まれる繊維の収縮力が内側の身の部分よりも大きいために、イカが反り返り、つるりとした表面が隠れてしまいます。そこで、皮に切り込みを入れて、表面が縮みにくくするのです。
切り込みによって、かみ切りやすくなり、味の染み込み方もよくなります。また、格子状に切り目を入れる「かのこ」などいろいろな飾り切りが料理に花を添えてくれます。 ただし、加熱時間が長くなると、身が縮んで固くなります。切り込みを入れても、さっと加熱することが大切です。煮物では、先に煮立てた汁に入れることがコツ。味と見栄えをよくする切り込みはイカ料理を引き立てる「隠し技」なのです。
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