調味料に意外な働き
だしもいらず、火の通りも比較的早い煮魚は簡単な料理。でも味が濃すぎたり、パサパサに仕上がったりと失敗例もあります。おいしい煮魚作りのために、煮汁に含まれる調味料の役割を考えてみましょう。
まずは基本的な煮汁の割合から。水1に対して酒が半分、しょうゆがその半分、砂糖はさらにその半分です。この中で渋い働きをするのがしょうゆ。味や香りをつけるだけでなく、含まれる塩分が作用して、魚の表面のタンパク質を固めて身を引き締めます。うまみを包み込むわけです。
しょうゆの塩分濃度は高く、浸透圧で魚内部の水分を引き出し、身を固くする働きもありますが、水や酒がうまく塩分を薄める役割を果たすのです。酒のアルコール分には消臭作用があり、魚臭さも抑えてくれます。
応用も考えましょう。白身魚の淡白な味を生かしたいときなどは、しょうゆや砂糖をやや少なめにし、魚臭さが気になる場合は濃いめにし、しょうがや梅干しも加えるとよいでしょう。煮魚の基本をマスターすれば、和食の腕前にも自信がつきます。
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